第1期北海道たけのこ王位戦 棋譜と所感 道川×加藤戦

北海道たけのこ王位戦 2020.12.27 道川 × 加藤 棋譜_page-0001

2020年最後の対局は、道川伊織さん対加藤純也さんでした。
道川さんはすでにご紹介したとおり、北海道では指折りの打ち手。対する加藤純也さんは、大通囲碁センターの閉店を受けて、行き場を失ってしまった人たちの受け皿として囲碁サークル「らんか」を立ち上げて活動している、北海道アマチュア囲碁界を支えている重要人物の一人です。打ち手としてもかなりのもので、北海道大学囲碁部の、かつての団体メンバーの一人でもあります。棋風はバリバリの力戦派ということです。

黒7、最近は非常によく見る三々入り。左下と右上、どちらにも白がいますが、どちらから押さえるべきか。「相手は数秒考えるので、持ち時間制の碁だと時間の面で少し得」とは、王位戦参加者の長島さんの言です。

いっぽう、右下隅で黒が一間にシマったことで右辺の価値が上がったので、黒7では16の六に一間で受けて、白上辺星のヒラキに黒は右辺星周辺に展開したいと義行先生はいいます。
それだと黒が右辺に偏りすぎともし感じるのであれば、黒5で中国流に打ってはどうかということでした。

白6のカカリは上辺重視だと思うので、白12では上辺にヒラキを打つのが常識的ではないでしょうかと義行先生の評ですが、力戦派の加藤さんはカカリに手抜かれたら両ガカリをしたくなるのだろうと勝手に筆者は想像します。検討でも、「両ガカリしたくなりますよね」と言っていたような?

黒19は21にツグべきじゃないかと義行先生の指摘で、対して白20では21に切る一手だと思います、とのこと。
義行先生は続いて黒23では一路右の三線に打ちたいそうです。そういえばですが、黒は23を打つときに少し長考していたようで、どこにはさむか、考えていたものと思われます。
続いて白24では、黒23の二路右にスベリを打ちましょうと義行先生の推奨です。四線だと白がここにスベリを打てるので、黒23では三線のほうがいいということなんでしょうか。

義行先生は黒25では29にハネたいそうですが、ともあれ実戦黒25を受けての白26は無理手で、25の一路上、13の三に受けるしか思いつかないということです。

また、白32では15の九にカケツギを打って耐えるしかないとのことで、実戦では黒33と切られて苦しくなってしまったと。

この碁のポイントは黒21のところにどちらが打つか、だと思うというのが義行先生のまとめでした。

局後の検討でも、白26はちょっと無理では、という話はしていたように思います。
しかしながら、白の加藤さんとしては普通に打っていたのでは勝ち目が薄いと考えていたそうで、どこかで戦いを起こして自分の土俵で戦えるように持っていきたいという狙いがあったらしいですね。そういう意味では、このあと終局までねじりあいの碁が続きますから、白は狙った展開に持ち込めていたものと思われます。

局後の検討で、途中、白78で先に黒79のところにホウリコミを先に打ってから78の位置のオキを打てば、黒15の二ハネ、白オサエ、黒サガリから白が右上をコウに持ち込む手順があり、コウ材がないから黒は困ったという話が出ました。そのように白にチャンスがあったことからも、白の作戦はある程度奏功していたとみるべきではないでしょうか。

昔そういえば、特撮ヒーローもので敵方が自分たちの有利な空間に引き入れるやつで、「魔空空間にひきずりこめー!」みたいなのがあったような気がするんですが。さしずめ囲碁の魔空空間といったところ?

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