第1期北海道たけのこ王位戦 棋譜と所感 伊東さん×嶋さん

第1期たけのこ王位戦  伊東 嶋 白中押勝ち_page-0001

1月9日に行われた、伊東信義さん対嶋孝浩さんの対局の棋譜と所感をアップします。
一方の伊東さんはすでにご紹介した通り、釧路在住の尾越先生門下生です。
対する嶋さん、こちらは囲碁歴19年、社会人アマです。2009年に学生本因坊戦の北海道代表になったり、日本学生囲碁王座戦の本戦に出場したりと学生時代に活躍し、その後も全道アマ囲碁名人戦で3位、宝酒造杯6段戦札幌大会で優勝して北海道代表になるなどの実績がある強豪です。
筆者は従来嶋さんとは面識がなかったのですが、たけのこ囲碁サロンオープン後間もなく初めてお客さんとしていらしたときにお会いしました。その時に「どのくらいの棋力でやられているんですか?」と聞いたのに対して「いちおう6段でやってますけど……」と言われて少しばかり緊張しました。
というのは、碁会所あるあるなんですけど、「6段」てけっこう厄介なんですよ。上から下までで5子くらいの腕の差があると思います。例えばうちの席主の一人である渡部春妃さんは北海道女流アマを三連覇した結果正規に「6段」の免状をもらっているから6段ですが、サロン内での対局の時には8段でやってもらっています。また、サロン内の「6段」の方々は、前身である「新札幌囲碁会館」時代には7段でした。ややインフレのきらいがあったので、「新札幌たけのこ囲碁サロン」になるときに全部1段ずつ下げたのです。
ほとんどプロと遜色ないような人でも「6段」、プロに5子置くくらいの人でも「6段」。よくある話です。だからよく「プロと打つとき何子で打ちますか?」と聞くのですが、時々「プロと打ったことないんで……」と返されて困ることも。
のちに判明したのは、嶋さんはそんな中でも上の方の6段である、ということです。さて、嶋さんが上の方の6段なら、囲碁歴3年に満たないけれど伊東さんも十分上の方の6段です。対局の内容はいかに?

嶋さんの黒番です。

黒9、ここでは右辺に打ちたいと義行先生。

伊東嶋 変化図1

また、白14ではワリウチで問題ないと思うとのことです。

伊東嶋 変化図2png

さらに白14からの手段はおもしろいのだけれど、30までの結果は白はあまり面白くないような気がするそうです。

そして黒31はボウシを打ちたいとのこと。筆者的には打たれるといやな気分になるやつです。受けるべきか、逆襲するべきか、無視するべきか、めちゃ迷った上でよくない選択をする、よくありませんか、そういうこと?

伊東嶋 変化図3png

義行先生は黒41では切りたいといいます。

変化図は黒が上手くいきすぎすぎなので白はどこかで変化するのですが、それでも黒十分やれると思う、とのことです。さて、でもどこで変化すればいいのかな、と筆者はいろいろ考えてみましたが、あんまり白的にしっくりくる変化が見つけられませんでした。

伊東嶋 変化図4png

白46から50は元気が良い手、と義行先生の評。ただ少し無理気味らしいです。

「黒57では間に合わせですが黒1とかはどうでしょう、と言っておきながら私なら実戦のようにポン抜きます(笑)。」

え、じゃあ実戦でいいってこと!?

伊東嶋 変化図5png

黒59から61ですが白60から62と封鎖されると少し嫌な感じで、59では黒1から7とこのラインを切りたい、とのことです。変化図を見ると確かになんか安心感が。

伊東嶋 変化図6png

 

「白60から62のラインがつながると左上の厚みが活きて白が面白いかな。

最後に細かい話ですが黒89は辛すぎます。せめて黒1とノビましょう。」と義行先生の言。

筆者は内側で眼を作る手って、打つときいつも悩みます。よくこのように言われるし、実際相手方によそへの先着を許すとそれっきり反撃の機会が回ってこないこともしばしばで……。でも、かつては眼を持たないと死ぬってわからなくて死んでたんですから、それに比べれば、って筆者の話はどうでもいいですね、スイマセン。

伊東嶋 変化図7png

黒の方は部分的な戦いに強く白の方は大局観が優れていると思う、と義行先生のまとめがあります。筆者は、伊東さんの石は外側にピタピタとまとまっていくことが多いと感じるのですが、部分的な地に拘泥しないあたりがそういう評価につながるのでしょうか。

190手完、白中押勝。強豪相手に立派な勝利でした。伊東さんは次に浅野さんと当たります。

 

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