さて、たけのこ王位戦も大詰めが近づいてきました。3回戦最後の対局、道川伊織さん対igobearさん。igobearさんは小学校3年生ながら3回戦まで駒を進めてきた実力者ですが、対する道川さんは北海学園大学から、在学中毎年学生大会の北海道代表になり続けた強豪ですから、実績では道川さんが格上と言ってよろしいでしょう。
この対局が始まった時、筆者はサロンに時々碁を打ちに来る小学校低学年と年長さんのちびっこ姉妹と碁盤を囲んでおり、観戦と棋譜取りはスタッフの井上さんに任せていました。ので、対局の経過を見ていたのは途中からです。ちびっ子たちに碁を好きになってもらうのも、めっちゃ大切な仕事ですからね。
白2から4は趣向なのでということで、義行先生から善悪の指摘はありません。
ただしこの後この白が働くような展開にするのは難しそう、とのことでした。
黒7のコスミツケは、黒7で単に黒9と打つのにくらべてコスミツケの必要性がわからないと義行先生が首をひねっていますが、もともと義行先生は置き碁で相手にコスミツケを打たれるのが大好物でして、義行先生にコスミツケを打った人はたいていやられていたことを筆者はよく覚えています。それでよく、コスミツケ擁護派と議論になったものです。
左下の戦いの結果は白が多いところなのに白が不満、と義行先生の評がありますが、たしか局後の検討でも同じような話をしていたと思います。
白32は車の後押しっぽくて嫌な感じで、これは義行先生も勝った道川さんも同意見のようです。
図のようにとタケフに打ち左辺と下辺のハサミを見合いにしたいところでした。
白36もタケフにツギが良く、実戦の36だとのちに黒45が先手になります。
黒47は馬の顔の方がバランスが良いと思いますが何れにしろ黒が有利な戦いです、と義行先生。実際この辺では黒は好調を意識していたようです。
白78では変化図白1のツケはどうかと義行先生からの提案。
白は上辺をこのまま地にするくらいの気持ちが必要だ、とのことです。
なお、この間すっ飛ばしましたが右下でコウが起こっており、道川さんによると時期尚早で、いいコウダテがないため白がかなり不利になってしまったという話でした。
実際、実戦の変化では白大いに不満なんですが、義行先生はコウには勝ちまたはフリカワリを読み切って仕掛けるものと、ふりを覆すために勝負手として打つものの二通りがあるので、これは後者ではないかと思う、との感想でした。
黒83では写真黒1の補強で十分とのことです。
白84では(82でも)写真白1から3くらいのことはしましょう、この後も戦いは続きますが白が苦しいと思います、ということで義行先生の講評は終わりです。
形勢不利なら勝負手探せ、と格言にも言いますね。筆者はそれが苦手です。
さて、すこし補足しますが、実戦黒51のハネは軽率で白に調子を与えてしまったかと局後の検討で話題になりました。
変化図のようにヒキで打って、なんならカラミにして攻めるくらいが隙のない打ち方だったのではということです。
この対局は道川さんの中押勝ち。
アマチュアナンバーワンの座は、道川さんと浅野さんで争われることになります。