第1回たけのこ王位戦 決勝戦 道川伊織×谷村義行戦の棋譜と講評 その1

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さて、だいぶ間が空いてしまって非常に恐縮なんですが、2月7日に行われたたけのこ王位戦決勝戦の棋譜を乗せていきます。

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右上、一間ジマリにツケていく手はAIから派生した最近の打ち方ですが、変化図のような手順が定石化されているようです。しかし、義行先生は小目の位置におさえる手以外は打つ気がしないとのことで、今後も義行先生が打つ限りこの変化図が出ることはないと思われます。

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実戦、このようになった図を見て、ツケを省いて単に白がシマるのと比較して黒悪くないと、義行先生の評価でした。

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実戦は黒ケイマで受けましたが、仮にコスミで受けると白がケイマで受ける形がしっくりくるので、黒打ちたくないとのことです。

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黒1とツケた場合、キリチガイからは難しい変化になりそうです。局後になってみると、(聞き役だったひろみさんから指摘されたように)一路右に受けて右辺を囲っていて悪くなかったかもしれないと義行先生も思ったということでした。キリチガイは白から右辺に技がかかる恐れがあると。しかし、対局中は右辺を囲う気は全くなかったと義行先生は言っております。

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もしもこうなったら黒が面白いんだけど……ということで示された図です。

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この局面では、黒がハネで受けるとこんな変化があり、黒がつぶれてしまいます。よって、少々不本意ながら黒は実戦の出を打ったとのことです。

ちなみに、この碁は大盤で手順を実況しており、みなさんシンとしつつもじっと大盤に見入っていました。私はサロンの隅っこで、対局の邪魔にならぬようにしながら小声で隣にいたひろみさんに解説をしてもらっていたのですが、ひろみさんのズバズバと歯切れのよい解説のおかげで随分わかりやすく観戦できたことをおぼえています。

 

あの日あの時、サロンには高段者のみなさんがそろっていましたが、その中にあってすらひろみさんは上から数えたほうがはるかに早い棋力の位置にいたであろうと私は確信しています。

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白もこんなものではなかっただろうか、の図です。

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ここで白が出から打つと(筆者などは真っ先に考える手ですが)、黒のオサエに対して白が切ったとしても、白の形が崩れてしまいます。

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ここで白がオサエてしまうと、黒3が厳しいのですね。よって、実戦のヒキになったと。

決勝戦は解説も微に入り細にわたっており、先が長いので、とりあえずここまでとさせていただきます。続きはまた後日公開しますね。歩みが遅くて申し訳ありません。

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