第一期北海道たけのこ王位戦 1回戦 長島×内田戦 棋譜と所感

2020.12.06 長島内田戦 59手まで

北海道たけのこ王位戦 2020.12.06 長島 × 内田

こちらは、北海道たけのこ王位戦の記念すべき第一局目、札幌の長島康裕さんと釧路の内田光津子さんの対局です。札幌釧路間は、東京名古屋間に匹敵するほど離れているうえ、コロナの感染拡大中の状況下でなかなか札幌まで来て打ってくださいとは言いにくく、そのため本局は東洋囲碁のネット対局場を利用して行われました。

withコロナ時代の、一つの新しい大会の在り方を提示できたのではないかと思っています。

黒番の長島さんは北海道大学囲碁部所属の大学生。かつて、たけのこ囲碁協会が主催するこども大会「たけのこ杯北海道冬休みこども囲碁大会」を制したこともある実力者です。
白番の内田光津子さんは、釧路の囲碁サロン尾越で修業中の小学三年生で、プロを目指して勉強中とのことです。年齢・性別による制限のないこの大会では、対戦相手が誰になってもほぼ格上ばかりですが、将来に向けていい経験を積んでもらえればと思います。

本局は、序盤の折衝で白の大石が取られてしまい、そこで大勢が決してしまいました。画像はそこまでの棋譜ですが、劣勢に陥った白による50のカカリが打ちすぎだったようで、黒51の封鎖から59まで。白の取られです。黒39が急所の一撃で、ここから一気に形勢が動いた感がありました。

さかのぼって、黒21の一間は一路右の二間のほうがよかったというのが義行プロの講評で、白22のカケから24は気持ちのいい利かしでした。この辺ではまだまだ白も打てていたのです。

白26では、黒27の位置にカケてみたかったところ。黒が4の六にトビを打ってきたら、白は2の四で問題ありません。これで黒が取れるというものではないけれど、スケールの大きい攻めになったはず、とのプロの評があります。

白36も小さい手で、ここでは黒35を受けてその2路右の10の九へケイマに打ちたかった。それ以前に白32の割り込みで28の石から9の九へトビを打つのがよかったようです。実戦は、中央の白を放置しすぎたきらいがありますね。

なお、本局では黒5で流行のダイレクト三々が打たれています。これに関して「私は絶対に打たない」と明言するのが、現たけのこ王の義行プロです。ダイレクト三々の善悪ではなく、「絶対に打たない」と自分自身の方針を述べている、このニュアンスの違いにご注意ください。いわく、「打つなら自分が素晴らしい手だと理解、納得しなければならない」とのことで、おっしゃる通りだなあと思いました。

筆者も最近、日本棋院の基本定石辞典で大ナダレ定石の変化を150通り以上勉強しましたが、何がいいのかさっぱりわからないので一生打たないという確信があります(笑)、

内田光津子さんは釧路ではみっちゃんと呼ばれており、筆者もそう呼んでいるかわいらしいちびっこさんです。本局は、結果だけ見ると黒番の長島さんの圧勝ですが、途中途中で長島さんをうならせる鋭い手を放った局面もあり、伸び盛りのみっちゃんにはこの対局を糧の一つにして、より高みへ登って行ってほしいと強く期待します。

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